『ゾーンに入る EQが導く最高パフォーマンス』 ダニエル・ゴールマン 著

『心』 - 人間性を磨く

GWも終了し、多くの方々はいつもの日常に戻られたのでしょうか。私もGW中は庭のリノベプロジェクトに精を出し過ぎたために、こちらのブログのアップデートをすっかりとさぼってしまいました。自分自身への気づきのためでもあり、以前に学んだ幅広い視点を思い出す、自分自身のためにも意味があることなので、また気合いを入れなおしててこちらも取り組んでいこうと思います。

 

さて、連休明け第1弾として、ダニエル・ゴールマン著作の『ゾーンに入る EQが導く最高パフォーマンス』 をご紹介したいと思います。

 

ダニエル・ゴールマンは、いわずとしれた心理学者で“EQ(心の知能指数)”のコンセプトを広めた第一人者です。以前にご紹介した『EQ こころの知能指数』は、私の“心技体を高める”リーダーシップ理論に大きく影響を与えた著作で、バイブルの1つです。

 

そのダニエル・ゴールマンが今回発表した新作は、“EQ”を活用して最高のパフォーマンスを発揮する、個人や組織が「オプティマルゾーン」に入るという考え方や、その方法などを紹介しています。大作で、かついかに質の高い成果を上げるかについてのヒントや、リーダーとして「オプティマルゾーン」に入るための体制作りの観点からも大いに学びがありますので、今回も入れて、複数回にわたってご紹介していきたいと思います。

 

まず今回は、「オプティマルゾーン」とは何ぞや? オプティマルゾーンとは、このような状態とのことです。

 

オプティマルゾーンを見分ける特徴はいくつかある。この状態にある人は、より創造性が高く、新奇かつ有用な解決策を見つけやすい。生産性が高く、質の高い仕事を次々とこなす。困難にぶつかってもやる気を失わない。こうした内面の状態は、周りの人への前向きで協力的で明るい態度にも現れる。
またこの状態は、頭がフル回転している、認知的有効性が最大限に高まった状態とも考えられる。そして、認知的に最高の状態でいられるかどうかは、感情の状態にかかっている。能力を最大限に発揮するための脳領域が活性化するのは、心を乱す感情を抑えてエンゲージメントを高く保っている時だ。
こうしたずば抜けたパフォーマンスは、フローのようなごくまれな瞬間から、もっとよくある、「とても満足の行く日が送れた」経験に至るまで、多岐にわたる。そんな時は、あなたにとって重要な意味で満足のいくパフォーマンスを発揮したと感じ、気分が乗り、どんな課題にも立ち向かう心の準備ができていたはずだ。つまり、あなたはオプティマルゾーンに入っていた。

 

 

要は、集中力抜群で、図抜けたパフォーマンスを見せている時

スポーツでも、なんでもうまくいくときを、「ゾーンに入っている」なんて言いますね。そんな状態かと思いきや、著者はそこまでを求めていません。

 

一般用語としての「フロー」は、ピークパフォーマンス状態の代名詞になっている。最近の企業は、従業員がフローに入りやすい環境を整えることを求められている。だが、フローには1つの問題がある。フローとは至高のパフォーマンスを発揮できる時、つまり定義上、めったに起こらないできごとなのだ。
フローはすばらしい、奇跡にも近い体験だが、それを当てにすることはできない。フローは、極限の集中状態にあったあの外科医がそうであったように、重要な条件がそろったときに、何の前触れもなく突然やってくるように思われる。だからこそ、本書はフロー状態よりも「オプティマルゾーン」を推したい。オプティマルゾーンなら、自分の努力によって、かつフロー状態よりもずっと頻繁に入ることができるからだ。
目指すべき状態をフロー状態に限定せずに、オプティマルゾーンにまで広げれば、自分により現実的な期待を持つことができる。いつもとびきり最高の自分でいる必要はない。自分の意志で維持することも、ましてや生み出すこともできない至高体験ができないからといって自分を責める代わりに、より大きな目標に向かって着実に自分を高めていけば、よい気分になれる。「よい日を過ごす」とは、心の中で「よくやった」と自分をほめられるほど、よい仕事をするということだ。それはフローとは違って、自慢するほどのことではないが、大きな満足を与えてくれる。

 

 

まあ、この辺の定義は、どれだけの違いがあるのという感もありますが、要は最高の状態を求めすぎず、でも、質の高いパフォーマンスを発揮できる状態を保とうということですね。

 

では、それはどんな状況だと生まれるのか。これが我々には大切。

 

私たち著書の2人は心理学者として、確かな研究成果を考えの指針としている。そうした研究をもとに、オプティマルゾーンに欠かせない要素が、自分の感情を知的に活用する能力、すなわち感情的知性(Emotional Intelligence: EI)だと考えるに至った。私たちにとって大きな発見となったのは、仕事のパフォーマンスを「外から」測る指標が職場で働く人々が報告する「内面」の体験とつり合っていることだった。この発見がEQが最高のパフォーマンスへの「扉」になる、という気づきにつながった。EQに関連する能力は、オプティマルなパフォーマンスのカギを握るーこれが私たちの結論である。

 

EQの能力が、オプティマルゾーンを生み出す重要な要素

 

高パフォーマンスの特徴の根底にあるのが、「良い気分」で、それには注意と意欲を高める働きがある。たとえば、よい気分の人は、瑣末なことにとらわれずに大局を見ることができ、より幅広いプロジェクトや課題に取り組む意欲に満ちている。
オプティマルゾーンの最も明らかな兆候は、「最高の気分」だろう。研究者はこうした喜ばしい気分を、「自己目的的」(オートテリック)という専門用語で表す。とてもポジティブな気分になり、自分のやっている活動それ自体に楽しみを感じる(楽しみ自体が報酬になるから、金銭などはそれほど重要なモチベーション要素ではなくなる)。

 

「よい気分」。。。 なんとも感性的な表現で表される状態が重要だと。

 

私たちの見解では、オプティマルゾーンに入るためには、課題と能力の釣り合いよりも、自分のやっていることに意味があるという感覚と、それをやる方法を自分である程度コントロールできるという感覚によって促される、「完全な集中」の方が重要である。
初期のフロー研究は完全な集中を、フローの結果として起こる現象とみなしたのに対し、私たちは集中(気が散っていない状態)そのものを、オプティマルゾーンに入るための条件と考える。集中するからよい仕事ができるのであって、その逆ではないのだ。
私たちが認知能力を最大限に発揮できるのは、脳の「警報装置」が起動せず、前向きなモチベーションを司る脳回路が活発に機能している時だ。冷静になればなるほど、思考は鋭く明晰になり、能力を目一杯引き出すことができる。

 

「完全に集中できる状態」 を作り出すことが、オプティマルゾーンに入るための必要条件なのだと。

では、どうすれば、その状態になれるのか?

 

フローの研究者は、目の前の活動への完全な没頭は、フローの「結果」として生じると考えた。これに対して私たちは、目の前の活動に完全に没頭する能力が、オプティマルゾーンに入るための「手段」だと考える。集中するためには、注意散漫を防ぐ必要がある。集中すればするほど、気が散る思考や感情が減り、何があっても気が散らなくなる。
最高のパフォーマンスを発揮している時の脳は、神経科学で「神経調和」と呼ばれる状態にある。手元の課題に取り組むための神経回路が十分に活性化し、それ以外の回路が相対的に抑制されるため、自分のやっていることに完全に集中できる。このような一転集中を最高のパフォーマンスへの入り口と考えるなら、注意散漫は、ゾーンからのすばやい退場ということになる。具体的には、複数の作業を同時並行的に進める「マルチタスキング」(や、さらに悪いのはネットでネガティブなニュースを読み漁る「ドゥーム(破滅)スクローリング」)によって、緊急で最重要な課題とは無関係な作業に気を取られるような場合だ。悪くすれば、あたふたして神経をすり減らしてしまう。
自分自身に向ける注意を、認知科学者は「メタ認識」と呼ぶ。頭に浮かんで消える考えや思いを客観的に見つめ、自分の注意がどこに向いているのかを意識し、必要に応じて注意を別の対象に移す能力である。注意が向かう対象を意図的にコントロールするのは、精神的スキルだ。心をスポーツジムのようにして注意を訓練すれば、精神的能力を高められる。前述のとおり、フローの研究によれば、フロー状態にある人は100%集中している。「今ここ」に一転集中しているのだ。

 

あやうく精神論的になりそうな雰囲気がありましたが、アクションとして大切なのは、

複数の作業を行わずに、ひとつのことに集中すること

これはヒントになりそうです。

 

そしてそのために、EQのスキルが大切になってくるのです。

 

では、EQのスキルとは何だったのか? こちらもご参照ください。

 

今日は、『心技体』のなかでも、『心』の持ち方が、パフォーマンスを高めるということでした。パフォーマンスは既に自分が有している『技』以上のものは発揮できないでしょうから、当然『技の基礎力』は高めた上で、それをいかにして最大限のパフォーマンスを引き出すか。そこは『心』であり、ゴールマンは、「オプティマルゾーン」。。「集中力」「一転集中」 ということでした。

 

では長くなりましたので、今日はさわりのみで失礼いたします。

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