『ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代』ダニエル・ピンク 著

『技』 - スキルを磨く

「構想力」「ストーリー」が必要になる・・・ これから必要とされる間違いのないスキルだと思いますが、これらを明確に意識させられたのは、この書籍に目を通してからです。

今日は、ダニエル・ピンク著の、『ハイ・コンセプト 「新しいこと」を考え出す人の時代』からの学びを紹介します。この本の初版は、調べる限りでは、2006年です。すでに9年近く前、いや著したその以前から、これらのことをすでに「構想」していた、ということです。頭が下がります。

豊かさのおかげで、多くの人の物質的ニーズは過剰なまでに満たされた。それによって美しさや感情面を重視する傾向が強まり、物事の意味への追求に拍車がかかった。

私たちの経済や社会は、「情報化の時代」のロジカルで直線的な思考から、これからは創意や共感、そして総括的展望を持つことによって社会や経済が築かれる時代、すなわち「コンセプトの時代」になる

このように、2006年以前から、このように見通しています。そして、どんな能力が必要となるか、いかに論じています。

新しい時代を動かしていく力は、これまでとは違った新しい思考やアプローチであり、そこで重要になるのが「ハイ・コンセプト」「ハイ・タッチ」である。

「ハイ・コンセプト」とは、パターンやチャンスを見出す力、芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、人を納得させる話のできる能力、一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力などだ。

「ハイ・タッチ」とは、他人を共感する能力、人間関係の機微を感じ取る能力、自らに喜びを見出し、また他の人々が喜びを見つける手助けをする能力、そしてごく日常的な出来事についてもその目的や意義を追求する能力などである。

仕事の面でハイ・コンセプト、ハイ・タッチの重要性が高まっている一方、「コンセプトの時代」の最も重要な変化は実は職業の外で起こっている。私たちの、心と精神である

「人は成熟世代に入ると、物事の認知パターンが抽象的でなくなり(左脳的働き)、より具体性を増す(右脳的働き)。そのため現実に対する感覚が鋭くなり、感情を理解する能力が増し、他人とつながっているという感覚がいっそう強くなる」

つまり、人は年を重ねるにつれて、生活の中に「目的」「本質的な満足」「超越」といった、それまでキャリアを築き、家族を養うあわただしさの中でなおざりにしがちだった特質を重視するようになる

そして、求められる「6つのセンス」を、以下にまとめています。

1. 機能だけでなく、「デザイン」 

商品やサービス、あるいは体験やライフスタイルにおいても、もはや単に機能的なだけでは不十分だ。外観が美しく、感情に訴えかけてくるものを創る事は、今日経済面において不可欠なことであり、個人の為にもなることである

    2. 議論よりは、「物語」

    情報とデータがあふれた今日の生活では、効果的な議論を戦わせるだけでは不十分ではない。必ず、誰かがどこかであなたの議論の盲点を突き、反論してくるからだ。説得やコミュニケーション、自己理解に肝心なのは、「相手を納得させる話ができる能力」なのである

    3.個別よりも、「調和」

    それはバラバラなものをひとまとめにする能力で、私が「調和」と呼んでいるものだ。今日、最も重視されるのは、分析力ではなく総括力、つまり全体像を描き、バラバラなものをつなぎ合わせて印象的で新しい全体観を築き上げる能力である

    4.論理ではなく、「共感」

    論理的思考は人間に備わった特徴の1つである。だが、情報が溢れ、高度な分析ツールのある世の中では、論理では立ち行かない。成功する人というのは、何が人々を動かしているかを理解し、人間関係を築き、他人を思いやる能力のある人である

    5.まじめだけでなく、「遊び心」

    笑い、快活さ、娯楽、ユーモアが、健康面でも仕事面でも大きな恩恵をもたらすということは、数多くの例により証明されている。もちろん、まじめにならなければならない時もある。だが、あまり深刻になりすぎるのは、仕事にとっても満足の行く人生を送る為にも、悪い影響を及ぼすことがある。「コンセプトの時代」では、仕事にも人生にも遊び心が必要なのだ

    6.モノよりも、「生きがい」 

    私たちは、驚くほど物質的に豊かな世界に住んでいる。それによって、何億もの人が日々の生活に苦しめられることから解放され、より有意義な生きがい、すなわち目的、超越、精神の充足を追い求められるようになった

    これらは、仕事だとか、生活だとか、切り分けて考えることを必要とされるものでもなく、もはや、幸せな「人生」「ライフ」そのものに必要とされるスキルセットです。「自分の1度きりの人生を、どのように幸せに過ごすことができるか」—その大命題の中で、キャリアや家族、自分自身、地域、世界を考えていく、テクノロジーの進化が、より大きな視点での考え方と、そこから過ごすべき生活を考えることを促しているのではないかと思います。

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