『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』 苫米地 英人 著

『技』 - スキルを磨く
Version 1.0.0

この2回にわたって、「どうしたら脳は退化しないか」「いきいきとした脳の状態を維持できるか」 という、どちらかというと、後ろ向きな出発点から、脳についての書籍を紹介してきました。しかし、脳はPCでいうところの、メモリーであり、処理速度を司るCPU(GPU)ですから、「自分の能力を爆発的に上げることができるか」「マルチタスクを並行して高速処理しつつ、質の高いアウトプットを出し続けることができるか」という観点で、脳に関する書籍にあたり、自分なりに訓練を続けたりしました。いわゆる、『技』を高めるためのインフラのアップデートですね。

そこで、今日は少々昔の書籍にはなりますが、苫米地 英人さんの『頭の回転が50倍速くなる脳の作り方』 をご紹介いたします。

苫米地さんの本は、これ以外にもけっこう読んで学びになっていますので、またの機会に他の書籍についてもご紹介したいと思いますが、この書籍は、「機能脳科学」の観点から、効率的に「速読」「記憶」「勉強」などをマスターして、自身の能力をアップデートすることを教えてくれています。

頭の良い人の決定的な違いは、「高い視点を持てるか」ということです。
いかに触れられない世界を自分の身体で触っているかのように感じられるか。その世界をまるで今目の前にある世界のように手で触れ、舌で味わい、身体で感じることができ、さらに操作できるのがIQなのです。
今まで体感したことや学んだことを、きちんと抽象化できていれば新しい学習が圧倒的な速さでできるようになるのです

確かに、我々に与えられた1日24時間は誰に対しても平等ですので、1つの事象からより多い示唆を獲得することができれば、学びは2倍にも3倍にも早くなる。そのために、「抽象脳」が1つの方法であると、説いています。

では、どのように「抽象脳」を獲得するのか?

どんなに速読を勉強しても、世の中のほんの一部の知識すら手に入れることはできない、ということ。だから、IQの上がった「新しい脳」を作ったほうが速いということです。抽象度を上げたIQの高い「新しい脳」を作れば、「知らないことが、あたかも知っていたかのように認識できる」ようになるからです。
抽象度を上げるには、まず、目の前にあるすべてに説明や解釈を重ねる。1度目をつぶって、目を開けた瞬間に先程の説明や解釈全てが目に飛び込んでくるようになる。これを繰り返すと、いつのまにか抽象度の高い思考が身についています。
「とにかく子供には小さい頃から、物事のからくりを説明させていたんだ。何でもいいけどね。信号で止まると、『何でクルマは信号でとまらなきゃいけないんだ』って質問をする。そうすると、子供が一生懸命説明する。とにかく世の中に対して説明をいつもさせていたんだ。」 説明原理を与えるということは、1度事象を抽象化が必要ですから、抽象思考をするのと同じことなのです。知識を暗記するのとは全然違います。試験勉強よりもずっといいと思います。
ついで、共感覚を作るトレーニングをします。共感覚とは、「ある感覚を別の感覚に置き換えてみること」です。例えば、ある音を聞いたときに「この音は赤だ」といった感じです。
最後には、自分の過去を抽象度高くイメージし、次いで将来のなりたい自分のイメージを抽象度高くイメージし、それをつないで行ったり来たりする。最後に、抽象度を下げて、しっかりと気持ちの良い感覚を身体で感じること。しっかりと地に足をつけて自分の身体で感じることで、抽象度の高い問題解決が現実世界に反映されるのです。
どのレベルまで抽象度を上げればいいのか? 私が薦めているのは、「過去に学習したもの」と「新しく学習したいもの」とが共有する1つ上の次元まで抽象度を上げるのです。この1つ上の次元をリースト・アッパー・バウンドといったりします。

目の前の事象に対し、少し詳し目の記述とそれにラベリングをして、一段高く事象を括っていく、といったらいいのでしょうか。過去の体験や経験も同様に記述とラベリングでリンクさせ、1個、2個上のレベルの抽象度にして、そのラベルを並べてみる。。。そんな感覚でしょうか。よく課題を抽出してMECEにする際に、同様のハコに放り込んで、1つ高いレベルにして、レベル感合わせて。。。という感覚で、私も抽象度高くして、俯瞰的な視点を獲得しようと、電車の中とかで訓練してたことがありました。。。

しかし、そうした抽象脳を創り出すためには、環境も大切であると。

新しい脳を作るためのステップは、
  1. リラックス状態を作る
  2. コンセントレーション状態を作る
  3. 超並列脳を作る

とのことです。

ではどうやったらこの状態を獲得できるか?

逆腹式呼吸や筋肉の1箇所から弛緩させてだんだん全身に広げていく。自分の手足を自分で引っ張りあげてどてんと落っこちることを確認する。それが本当の意味でのリラクゼーションです。
物理的に肩がこっているとか、「ぶーっ」と車が来て心臓がどきっと一瞬した、というのは物理空間の臨場感になってしまいます。この中では高い抽象空間は生まれません。
ここで言うコンセントレーションの方法は、とりあえず何か1つのことだけに意識を集中させます。するとその1つ以外は全部無意識状態になります。
脳が無意識状態になると、逐次処理している意識のボトルネックがはずれ、並列処理の超並列脳に変わります。この超並列脳を現代人は使えていません。
お勧めするやり方は、リラックス状態を作った後に、自分で目をつぶって、おでこのどこか1箇所だけをじっと見る。その1箇所だけをずーっと凝視するだけでよい。目をつぶったまま眼球を上に向けるのです。そうすると、人間の脳は超並列的に動き出します。

イメージできるでしょうか。。。難しいですよね。

私はずーっと好きで、何セットか繰り返すと、頭の中がぼわーっとして、余計な意識が消失して、点であった記憶、事象が、つながったりして新しいアイデアが生まれたりすることがあるのですが、勝手にこんな状態だ、と自分なりに解釈してました。(たぶん、間違っていますが。。。)

このエクササイズで、どれだけ高速学習ができるようになったのか、自分自身の効果は実感してはいないのですが、少なくとも俯瞰的に目の前の事象を眺めることができるようになったのは間違いないですし、降りていった時の具体事例やアイデアも出てくるようになったと思います。その意味では、脳の使い方に変化はあったのでしょうね。

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