2024年大みそか。今年最後に紹介する書籍は、ビル・パーキンスの『DIE WITH ZERO』 です。
この書籍を世に出した理由を、筆者はこのように記しています。
この本の目的は、富の最大化ではなく、人生の喜びを最大化するための方法を探すことだ。この2つの目的は根本から違う。金は目的を達成するための手段に過ぎない。金は、人生を楽しむというもっとも重要な目標の達成に役立つ。一方で、金を増やすことを最優先してしまうと、その目標の達成は難しくなる。だから、「できる限り人生を充実させるにはどうすればよいか」という一番大切な目標をいつでも忘れないようにし、あらゆる判断の指針にしてほしい。
この本が印象深かったのは、私の父は、59歳で亡くなりました。私の目の前で亡くなっていったのですが、その時人間誰もが死を迎えること、スティーブ・ジョブズが有名なスタンフォードのスピーチで述べたように、死は誰もが向かえる平等な発明であることを、残酷なまでに実感しました。
それ以来、私自身も59歳で死ぬんだ、だから1分1秒も、人生無駄にすることはできないのだ、という意識で、毎日生きてきました。この本は、その限りある人生、何を大切にするべきか、ということを論じている書籍です。
私に刺さったフレーズを、ご紹介していきます。
「人生でしなけばならない一番大切な仕事は、思い出づくりです。最後に残るのは、結局それだけなのですから」
とにかく早い段階で経験に投資すべきだ。そうすれば、年齢を重ねるほどに驚くほど多くのリターンが得られる。
これが、この書籍の一番のメッセージだと思います。死ぬときに思い出すのは、「思い出」。そして、それは年を取ってから、ではなく、思い立ったらどんどん経験に投資するべき、ということです。
元の経験から副次的に生まれる経験は、まさに記憶の配当だと言える。その経験は、積み重なっていく。忘れがたい旅を振り返ることで、どれくらい多く、豊かな時間を過ごせただろうか。繰り返し思い出すことで、元の経験よりも多くの喜びが得られることだってある。金を払って得られるのは、その経験だけではない。その経験が残りの人生でもたらす喜び、つまり記憶の配当も含まれているのだ。先ほど、経験にポイントを与え、棒グラフにした。ここに、元の経験を思い出すたびに得られる喜びのポイントを加算してみよう。
「人生は経験の合計」というのは、単なる比喩ではない。数値をつけることで、実際に経験を合計できる。さまざまな経験の価値を比較できるようにもなる。これが人生の充実度を高める大きな一歩になる。具体的には、各体験から得られる喜びをポイントで表現することから始める。
経験を、「見える化」しておくことで、記憶にもなっていく、と。大変ユニークな考え方です。そして、「時間を意識する」ことも説いています。
私は自分の推定死亡日までの日数(年数、月数、週数など)をカウントダウンする「Final Countdown」というアプリを使っている。友人にもこのアプリをすすめている。
「ゼロで死ぬ」とは、金だけの問題ではない。それは時間の問題でもある。限られた時間とエネルギーをどう使うべきか?私たちはそれを、もっと真剣に考えるべきだ。それが、人生を最大限に豊かにすることにつながっていくのである。
だからこそ、思い立ったら吉日。行動することを強調しています。
金から価値を引き出す能力は、年齢とともに低下していくのだ。
年齢を重ねておいていけば、水上スキーを楽しんだり、ポーカーの大会に出場したり、飛行機に乗って見知らぬ土地を旅したりすることも、いつかはできなくなる。どんな経験でも、いつか自分にとって人生最後のタイミングがやってくる。・・・・あなたを暗く悲観的な気持ちにさせたいわけではない。私たちが死ぬ日と、何らかの経験を楽しめなくなる日は違うということが言いたいのだ。
オーストラリア人のブロニー・ウェアは、長年、緩和ケアの介護者と数多くの患者を看取ってきた。彼女は、余命数週間の患者たちに人生で後悔していることについて聞いたそうだ。そのなかで、もっとも頻繁に耳にした「5つの後悔」をテーマにしたブログ記事は大きな話題を呼んだ。このブログは後に書籍化もされている。その5つのうち上位2つの後悔は、本書の主張にも重なる。最大の後悔は、「勇気を出して、もっと自分に忠実に生きればよかった」であった。他人が望む人生ではなく、自分の心の赴くままに夢を追い求めればよかった、と。
ただし、当然のことですが、やりたいことをやるためには、経済面も担保しておかなくては、何もできません。そのためには、自分にはどれくらいのお金が必要なのか、しっかり考える必要があります。Lifetime Financial Managementです。
あと25年生きるために、55歳のあなたにはどれくらいの金が必要になるのか。まずは大まかな計算をしてみよう(これは最終的に答えではない)。単純に1年間の生活費に人生の残り年数をかけると次のようになる。
(1年間の生活費)X(人生の残り年数)=1万2000ドルX25=30万ドル
繰り返すが、これは最終的な答えではない。貯金しなければならない実際の金額は、30万ドルよりはるかに少なくて済む。なぜか?資産は、ただ寝かせておくわけではないからだ。株式や債券に投資すれば、資産は利息を生みだす。あなたが働いていなくても、収入が得られることになる。物価上昇率以上の利息は、取り崩した資産に加算されるからだ。では、死ぬまでに必要な金=(1年間の生活費)x(人生の残りの年数)x0.7
ゼロで死ぬことを目指すなら、純資産は人生のある時点から減り始めなければならない。そうしなければ、金が無駄になる。つまり、価値ある経験を逃していることになる。これが、純資産のピークをつくるべき理由だ。私たちは人生のある段階で、まだ経験から多くの楽しみを引き出せる体力があるうちに、純資産を取り崩していくべきなのだ。
なお、この死ぬまでに最低限必要な金には、いくつもの資産が使えることにも注意したい。たとえば自宅を保有していれば、売却して小さな家に住み替えることで資産を作れる。自宅を担保にすれば、返済不要な形で毎月一定額の融資を受けることもできる(逆住宅ローン)。想定以上に長生きして、途中で資金が底をついてしまう不安があるなら、資産で長寿年金を購入し、生きている限り年金を得るという方法もある。
子育て、教育、住宅、等々、考えなくてはいけないことは色々とあると思いますが、それも含めて1度きりの人生、死ぬときに「幸せだった」と思えるような、人生を送りたいものです。
そして、今年1年、繰り返し繰り返し、実感したフレーズで、2024年を締めたいと思います。
行動をとらないことへのリスクを過小評価すべきではない
わからないことだらけですが、とにかく始めてみよう、ということでこのブログを始めてみました。どうなるかわからないですが、継続していこうと思います。では、よいお年をお迎えください。