人生100年時代ー 自分の人生について、考えることが求められるようになりました。
そこで、今日は、藤原 和博さんの『どう生きる? – 人生戦略としての「場所取り」の教科書』をご紹介します。藤原和博さんも、その書籍や講演を通じて、多くのことを教えて頂いている、こちらが一方的に考える師匠のおひとりです。この書籍は、生き方もそうですし、キャリアにおける自身の立ち位置をどう取るか、を論じています。
社会で成功している人は、なぜ成功しているのでしょうか。その秘密は、生まれ持っての「才能」や「資質」ではなく、その人に合った「場所取り(ポジショニング)」と「タイミング」にあります。
「場所取り」とは、どの会社・役所で、どのセクションのどの役職で、といった組織上の位置ではありません。自分をどの場所・陣地に置き、キャリアとしてどんなスキルを活かし、個人としてどう生きていくか、です。
キャリアが終盤にさしかかり、定年が近づけば、組織に守ってもらえなくなりますから、自分の陣地を固めておかねばなりません。組織を離れても、自分の陣地で楽しみを得て、食い扶持を得ることは、きわめて重要なのです。
個人的に、子どもたちの行く先もある程度見えて、自分自身が今後どのように生きていくか、組織とのかかわり方など真剣に考えだしたところですので、「個人の力」をどうやってつけるか、大きなテーマになっていますので、それを再認識させて頂いた部分。このブログを始めたのも、そうした問題意識から、と言っても過言ではありません。
私がおすすめするのが、組織内「自営業者」という意識を持つこと。まず、会社で仕事をする上でのマインドを変えましょう。会社に雇われていることは事実ですが、雇われていると考えない。自分自身が、自分を雇用していると考える。会社員であっても、自営業者のつもりで会社と接するのです。プロフェッショナルとして高い付加価値を出し、その対価をもらっているという感覚を持つことが大切です。
「私の上司は社会全体だ」くらいに考えましょう。具体的には、会社が蓄積した資産を使い倒し、自分の学びにつなげる。会社をビジネススクールと考えて、自分の能力を徹底的に磨く。社内にいながらも社外に目を向け、いつでもどこでも通用するスキルを鍛え上げるのです。
もう1つ意識することは「プロ」になることです。自分はこのスキルや技術でプロになるんだ、という分野を1つ決めましょう。ここで言う「プロ」を定義すれば、それは「結果を出せる人」のこと。
時給8万円のゾーンに向かうこともできます。そのキーワードこそ「希少性」です。希少性を有していればレアカード仕事人、図の右側に向かうことが出来ます。
希少性があればコミュニティで豊かな人脈も作れるし、SNSでファンやフォロワーがつきます。たくさんの味方を得て、自分のビジョンに近づくことができるのです。
同じ職業で時給の差を生むものは何でしょうか。まず、技術の高さや熟練度が挙げられます。しかし、それだけではありません。ある特定の領域に大きなニーズがあり、そこにものすごく強くて、他に変わりになる人がいない。そんな人なら時給は高くなります。つまり、技術の高さや熟練度だけが時給を決めるわけではない。これこそ「場所」であり、「陣地」であり、「ポジショニング」なのです。
そして、目指すは、「個人自営業者」。人生100年時代、組織に依存せず、「いつまでも働き続ける」。それにより、健康寿命を延ばし、社会全体の活気を保つことにつながるかもしれません。
「定年のない生き方」で大事なことは、現在所属している組織の外でお金を稼ぐこと。まずは個人事業主を目指しましょう。始めるのは、30代でも40代でも50代でも60代でもかまいません。大事なことは、「屋台」を引く感覚で、1人社長兼従業員のスモールビジネスから始めること。あくまで1人で起業し、個人事業主としてやってくことを前提にするのです。
このマラソンには1つだけ、わかりやすいコツがあります。ピストルが鳴りませんから、先に立た方が目立ちます。さらに、道が決まっていないので、「この道かなあ」と走り出した人が注目を浴びて応援が集中します。最初に走り出てきた人に、もっとも多くの拍手が集まるのです。
60歳以降も働き続ける環境にしておくこと。そのことを意識しながら、早めに「場所取り」をしておきましょう。
もちろん、スジのいい「ポジショニング」を考えることは大切なのですが、それよりも、私には、ある程度考えたら、「動く」「実行する」こと。その点が、ぐさりと刺さります。
やりたい仕事、経験したいことは、自分を安売りして取りに行く。無償でも駆けつける。やりたい仕事や覚えたいスキルであれば、むしろお金を払ってでも参加する。これが、未知のスキルを身につける近道になります。
運がいい人、運を引き寄せてくる人には共通の習慣があります。それは、すばやく行動を起こし無限に修正していくこと。
つまり、運を引き寄せる人は運が回ってくるのをじっと待っているのではなく、積極的に行動しているからこそ運が巡ってくるのです。
それには、「DA・DA・DA」で進めましょう。実行したらすぐに改善し、改善策を実行したらまた即、改善する「Do・Act・Do・Act」。つまり「DA-DA-DA」のリズムにするべきなのです。大事なのは、まず行動すること。
そして、藤原さんが一貫して主張されている、これからの時代に必要な能力と、生き方について。
新しい時代に求められているのは、「正解」ではなく、「納得解」を導き出す力です。
納得解とは自分が納得でき、かつ他人を納得させられる解です。もはや、万人に共通する唯一の解ではなく、誰もが仕事や暮らしの中で試行錯誤しながら、自分自身が納得できる解を求めていくしかない。この納得解を導き出す力を、私は「情報編集力」と呼んでいます。正解がないか、正解が1つではない問題を解決する力。今求められているのは、情報処理力だけでなく情報編集力を鍛えていくことなのです。
私が40年以上にわたる社会人生活を観察した結果、総合力として情報編集力の高い人の特徴は、次の2点です。
- 「遊び心」があって、イマジネーションが豊か
- 「戦略性」がある
この2つを満たしている人は「仕掛ける側」に回れます。先にも触れた「仕掛けられる側」「ルールを守る側」ではなく、「仕掛ける側」「ルールを作る側」に回れるのです。
そして、この2つは「仕事ができる人」「打つ手が当たる人」「予測が的中する人」「人望がある人」「リーダーシップのある人」「マネジメントがうまく行っている人」「業界のイノベーターとして周囲に認められている人」「実際に社会を動かしている人」「運が良いように見える人」「自分の人生を主人公として生きていける人」に共通する特徴でもあります。
「遊び心」は「ゲーム心」と言い換えられるかもしれません。いかに面白がるか、面白いと思うことに即アクションを起こせるかが肝心です。「戦略性」は、狙った獲物は外さない感覚。目標やビジョンを実現するためには、まず行動を起こし、無限に修正を続けるしつこさが必要になります。そのためには、多様な資源を上手に編集していくことが求められるのです。
相手に喜んでもらおうとする。そういう人には幸運が訪れます。私は大事な人とはべたべたすることなく、つかず離れず長く付き合います。
人間は社会的動物であり、1人では生きられません。自分を受け入れてもらえる居場所、できれば本音で話せて悩んだり喜んだりできる濃密な関係性を持つ必要がある。だから、家族という基盤とは別に、いくつかの分野の「社会的な中間集団」としてのコミュニティに所属しましょう。
自分の人生を記憶してほしければ、家族を含めたコミュニティに痕跡を残すことです。あなたの軌跡/奇跡の記憶媒体は、組織ではなくコミュニティなのです。
このブログも、「記憶」の1つの媒体できないか。そんな風にできていくといいなと思います。