『LIFE SHIFT2 』100年時代の行動戦略 アンドリュー・スコット/リンダ・グラットン著

『心』 - 人間性を磨く

自分の人生がどれくらい続くのか、幸せな人生を送るために、どんな行動をするべきか ー

私は、ヘルスケアに関わる仕事を生業としており、私の人生のテーマは、「人がいかに健康で、幸せな人生を送ることができるか」です。人生100年時代と言われる現代、この書籍から学ぶことは大いにあるかと思い、今日はアンドリュー・スコット/リンダ・グラットン著の『LIFE SHIFT2』100年時代の行動戦略をご紹介します。 

今回のパンデミックで見えてきたことだが、健康と資金とスキルと生きがいと人間関係を維持することは、ますます個人の責任になってきている。このような新しい状況は、現在の人生を形作るうえで胸躍る可能性を生みだすが、その反面みずからの未来に対して自分で投資する必要性も大きくなる。

新型コロナがもたらした経験をきっかけに、日本の働き手と家族は、「新しい長寿時代」を築くために千載一遇のチャンスを迎えている。新しい人生のストーリーを紡ぎ、学習と移行を通じて探索を行い、人との深い結びつきを生みだして人間関係をはぐくむ絶好の機会が訪れているのだ。

誰もが社会的開拓者として、新しい社会の在り方を切り開く覚悟を持つ必要がある。これが本書の核をなすメッセージである。

他人のためではない、自分自身と自分に関わる人たちと幸せな人生を過ごすために、「自ら考える」大切さに言及します。

好ましい社会変革とは、「人間とは何か」という、より深い問題に関わるものではなくてはならない。具体的には、一貫性があって前向きな人生の物語を紡ぎだすこと、探索と実験と学習を行うこと、そして、他の人たちとの関係を構築・維持することを助ける必要がある。

機械に代替されにくいのは、より人間らしい活動を行う能力だ。具体的には、人と人とのやり取り、ケアと思いやりが必要な活動、マネジメントとリーダーシップ、創造とイノベーションなどである。

社会的発明によって目指すべきなのは、人々が心身ともに活動的に生き続けるのを助ける方法を見出すことだ。一方、個人は、できるだけ健康で幸せな人生を送るためには、どのように生きればいいか、という根源的な問いを突き付けられることになる。

ジーノの研究によれば、人々が不確実な未来と厳しい外的環境に素早く対処する上では好奇心の果たす役割が大きいという。好奇心の強い人は創造的な解決策に到達しやすく、(これはきわめて重要な点だが)型にはまった思考や誤った思い込みに陥る可能性が比較的小さいのである。

好奇心を持ち、未来を見据えて創造力を発揮することは確かに重要だが、社会的開拓者であるためには、それだけでは十分ではない。行動を起こす決意と勇気も同じくらい重要だ。

これからの社会を見据えながら、個人としてどんな要素が必要かを示します。「好奇心」と「行動」です。

あなたの人生は、より長くなり、より多くのステージで構成されるようになって、仕事、余暇、私生活、貯蓄のそれぞれに力を注ぐ時期を様々な順序で経験するようになる。しかし、骨組みだけでは、ストーリーは完成しない。ストーリーの全体を貫くテーマや目的も必要だ。その点、あなたが紡ぐ人生の物語の土台をなすのは、人生を生きたいという欲求だろう。

生涯にわたって学び続ける。いくつもの移行を繰り返しながら長い職業人生を送るためには、学び続ける必要がある。

大人の学習では、未知のことになじむよりも、見慣れたものを新しい視点で見ることの重要性が大きい。そして、新しいスキルと行動パターンを身に着けるのと同じくらい、古い思考や行動を捨てること(「学習棄却」)が大きな比重を占めるようになる。大人は、厳しい環境で学ばなくてはならないケースもある。

やはり、人生が長くなれば、「常に自分自身をアップデートし続ける」こと、そして、「捨てる勇気」が必要になると。当たり前ではあるのですが、共通する意識、スキルセットになってくるのだと思います。

平均寿命が大幅に上昇する時代には、人生の移行に関して未来志向の考え方をし、未来の「ありうる自己像」への投資を増やす覚悟を持たなくてはならない。

本書の主要なメッセージは、人生が長くなる半面、人生で多くの移行を経験するようになる結果として、ひとつひとつの活動の期間やステージが短期化するということだ。

本書では、この新しい長寿時代がどのような時代になるかを描き出そうとしてきた。そうした変化を前提にすると、以下の5つの行動をとることが重要になる。

  1. 先手を打つ。あなたはいますぐ行動を起こす必要がある。
  2. 将来を見据える。
  3. 「ありうる自己像」を意識する。人生が長くなり、多くの移行を経験するようになれば、あなたの「ありうる自己像」の選択肢は大きく広がる。その恩恵に浴するためには、それらの選択肢をじっくり検討し、選択肢を早く閉ざし過ぎないことが重要だ。
  4. 可変性と再帰性を意識する。現在の自分の行動が将来の自分に返ってくるのだ。あなたがどのように老い、どのような将来の選択肢を手にするかは、いまあなたがどのように行動するかによって決まる。
  5. 移行を受け入れる。

最後に。私もある程度の年齢になってきて、キャリアを考えるわけですが、そうではなく、「一生学び、一生社会に貢献していく」ーそんなメンタリティが必要なのだということなのだと思います。当然、それが何か、は、我々一人一人が自分自身で考えなくてはいけない。そして、何より「行動」です。

昔なら、ある程度の年齢以上の人たちにとって、未来への計画と言えばもっぱら引退の計画だった。しかし、最近は、そのような年齢でみずからの生産性を高めようとする人が増えているのだ。その取り組みを成功させる土台になるのは、既存のスキルや強みに磨きをかけるために思い切った投資をすることだったり、やりがいを感じられる新しい分野を見つけて、その分野で必要なスキルを習得するために努力をすることだったりする。

その際にカギを握るのは、年齢を重ねるにつれて強化されるタイプの知能、すなわち結晶性知能を最大限活用することだ。具体的には、結晶性知能が求められるような仕事を探せばいい。流動性知能がますます人工知能(AI)に代替されやすくなることを考えると、労働市場における結晶性知能の強みは次第に大きくなるだろう。

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