ビジョンとは何か──『未来に責任を持つ意思』としてのリーダーシップ

『技』 - スキルを磨く

ここ最近の回では、リーダーシップのOSの中でも、右脳的・ソフトスキル寄りの「技」を取り上げてきました。
その中でも “リーダーの役割として必ず挙げられるもの” が、次の言葉です。

「リーダーはビジョンを掲げることが大切だ」

居酒屋で聞こえてくる会話でも、
「結局、社長は何をしたいのかわからないんだよなぁ。ビジョンが見えないよ」
そんな嘆きを耳にしたことがある方も多いでしょう。

今回は、この「ビジョン」という概念について、改めて考えてみます。

 

そもそも“ビジョン”とは何か
最近では パーパス、ミッション、バリュー などの言葉があふれています。
その中で “ビジョン” はどこに位置づくのでしょうか。

AIが示す定義では次のように説明されます。

“ビジョンとは、企業や個人が将来目指す「あるべき姿」「未来の理想像」を描いたもの。
「3〜5年後の展望や目標」を示し、行動と意思決定の軸となる。”  (Source: Google AI)

一方で、CoPilotはより本質的にこうまとめています。

“「ビジョン=自分(または組織)が実現したい未来の姿を、方向性として示すもの」
「ビジョン=自分が信じる未来の物語」”  (Source: CoPilot)

 

では、語源から見てみると何がわかるのでしょうか。

“Vision” の語源は「見ること」
Vision の語源は、ラテン語 visio(見ること、視覚、幻視)。

動詞 videre(見る)がルーツで、もとは 物理的な「見る」 を指していました。

ここから、

  • 目で見えるもの
  • 心で見えるイメージ
  • 未来を見通す力

へと意味が拡張していったのです。

つまりビジョンとは、もともと “見える/見ようとする” 行為。
だからこそ、経営でも個人でも、方向性を示す概念として広く使われるようになったと言えます。

 

『ニューエリート』では次のように表現されています。

“ビジョンとは、「こういう世界を描きたい」「こういう世界を見たい」というイメージのこと。”

『ニューエリート』 ピョートル フェリクス・グジバチ 著

 

なぜ今、リーダーに「ビジョン」が求められるのか

では、なぜ今またリーダーに「ビジョン」が求められているのでしょうか?

『EQリーダーシップ』には、こう記されています。

過去に投資するよりも未来を創造することが強調されるようになった今日、以前にもましてビジョンが重要になってきている。”

『EQリーダーシップ』 ダニエル・ゴールマン、リチャード・ボヤツイス、アニー・マッキー 著

戦後の日本では「豊かになる」という共有されたビジョンが国全体に存在していました。
しかし今は、達成すべき共通ビジョンが自動的には存在しません。

だからこそ、
“この世の中をどうしたいのか。
この組織をどう変えたいのか。
どんな未来をつくりたいのか。”
その「想い」を示すことがリーダーの責務となったのです。

 

ビジョンは「新しくひねり出す」ものではない
佐宗邦威氏は『じぶん時間を生きる』でこう述べています。

 “ビジョンづくりとは決して新しく何かをひねり出すものではないということだ。どちらかというと、自身の潜在意識にすでに存在していて、“解放する”作業に近い。

『じぶん時間を生きる』 佐宗 邦威 著

これは、前回まで扱ってきた「創造するプロセス」と同じ文脈にあります。

そして、ビジョンには必ず“伝える作法”が伴います。

中島聡氏は『結局、人生はアウトプットで決まる』で次のように言います。

“企業は、経営者のビジョンに共感するスタッフが集まり、創意工夫してビジネスを形作っていくもの。・・・・自身のビジョンをわかりやすく伝えること、つまり、思想のアウトプットはリーダーに欠かせないのです。

『結局、人生はアウトプットで決まる』 中島 聡 著

ビジョンをわかりやすく伝えることは、リーダーには欠かせないのです。。

ビジョンとは、未来に責任を持つ“意思”である
『EQリーダーシップ』でも、

目指すところを言葉で描いて見せる

『EQリーダーシップ』 ダニエル・ゴールマン、リチャード・ボヤツイス、アニー・マッキー 著

ことの重要性が強調されています。

佐宗氏も次のように述べます。

“ビジョンに善し悪しがあるかというと、言葉の裏に在る、世界観や大事にしている価値観が伝わっていくものが、良いビジョンだ。”

『じぶん時間を生きる』 佐宗 邦威 著

つまり、

ビジョンとは世界観そのもの。そして、それを“言語化して届ける力”こそ、リーダーの技と言えると思います。

生半可な想いでは人は動きません。
だからこそプレッシャーもありますが、同時にリーダーにとっての醍醐味でもあります。

 

AI時代、リーダーに必要になるのは「問い」と「ビジョン」
AIエージェントが高度化するこれからの時代、城田真琴氏はこう述べています。

“AIが最高のプレイヤーになれる世界では、リーダーシップは “より純粋な本質” に戻っていく。その核のひとつが「ビジョンを掲げ、解くべき問いを示す力」だ。”

『AIエージェント』 城田 真琴 著

堀江貴文氏・落合陽一氏も『10年後の仕事図鑑』で、

“経営者の仕事は「ビジョンを語ること」と「組織を管理すること」。
ビジョンを語ることは、今のところAIにはできない。

『10年後の仕事図鑑』 堀江 貴文 x 落合 陽一 著

と断言しています。

 

問題解決は“ビジョンの副産物”
山口周氏は『NEW TYPE』で次のように述べています。

“取り組むべき姿=アジェンダの明確化は・・・・「あるべき姿=ビジョン」が明確になって初めて可能になります。問題を生み出すことが出来ないのは、「あるべき姿=ビジョン」が不足しているということなのです。”

『NEW TYPE  ニュータイプの時代』 山口 周 著

課題とは、
“あるべき姿” と “今” のギャップ

だからこそ問題解決にもビジョンが欠かせないのです。

 

世界観は“言葉”になったとき力になる

わかりやすく、解像度が高いほど、ビジョンは人に届きやすくなります。

だからこそ次回は、
「言語化力」
についてさらに深掘りしてみたいと思います。

最後に:
あなたの中の“世界観”を見つめてみてください

 

ぜひ皆さんも、

  • 自分が大切にしている価値観
  • これからつくりたい世界
  • 歩みたい方向性
  • 描きたいキャリアの形

これらについて、一度ゆっくり考えてみてください。

それが、私たち自身のリーダーシップの土台になります。

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