前回の記事では、「技のOSとしての問題解決力」が、ビジネスにおいても、そして自分自身の人生をより良くするうえでも、非常に大切な力であることをご紹介しました。
なぜ、問題解決力はそんなにも重要なのか。
少し個人的な話になりますが、私はお酒が好きで、同僚や友人と飲む機会がよくあります。そういう場でつい出てしまうのが、職場や組織、人に対する“愚痴”。もちろん、愚痴を言って心を軽くし、明日また頑張る。そのためのガス抜きは必要です。
ですが、いつも文句ばかりで何も変わらないという人も中にはいます。他責思考に陥り続け、自分の手で状況を良くしようとしない——。
そこに居続けるのは、自分自身の価値を減じてしまうように思うのです。
堀義人さんの言葉にあるように、「問題解決力」とは単に“社会の問題を解決する技術”ではなく、自分の人生を豊かにするための力でもあります。
■ 「考える」とは、“答えを出す”前提に立つこと
では、問題解決力とは何か。
世の中には多くの本や研修がありますが、ここではテクニックよりも、まずは大切なマインドセットに触れたいと思います。
安宅和人さんの『イシューからはじめよ』には、こんな言葉があります。

“「悩む」とは“答えが出ない”前提で考えるふりをすること。
「考える」とは“答えが出る”前提で建設的に組み立てること。”
“ビジネスや研究ですべきは、あくまで「考える」ことである。”『イシューからはじめよ』 安宅 和人 著
この言葉が示すように、まず大切なのは「自分がこの問題を解決し、より良い状態にする」 という意思と覚悟です。
そのうえで重要なのは、「どの問題を解くべきか」を見極めること。
安宅さんはこう続けています。
“気になる問題が100あっても、本当に答えを出すべきは2〜3。
さらに、今答えを出せる問題はその半分。
結局、イシューは全体の1%程度にすぎない——。”『イシューからはじめよ』 安宅 和人 著
リーダーにとって、本質に集中する姿勢は欠かせないものです。
■ 技術を支える“型”を身につける
一方で、より実践に近い形で問題解決の型を教えてくれたのが、齋藤嘉則さんの『問題解決プロフェッショナル』です。

印象に残っているポイントは次の3つです。
私はコンサルタントではありませんが、この型を何度も繰り返すことで、少しずつ勘どころをつかめるようになりました。
何より、物事が前に進む。
その小さな成功体験の積み重ねが、自信につながっていったのだと思います。
齋藤さんは最後にこう述べています。
“プロフェッショナルは、「走りながら解決する。」”
“自主的問題解決こそ、最も優れた結果を生み出す。”『問題解決プロフェッショナル 「思考と技術」』 齋藤 嘉則 著
■ 生成AI時代に必要な“見極める力”
今は生成AIが、非常に精度の高い仮説や解決策を瞬時に示してくれる時代です。しかし、それを実行するのは私たち人間です。
AIの提示する解決策が“正しいのか、正しくないのか”。
そこを見極める目、違和感を察知する感性、正しい問いを立てて軌道修正する力——。
これらはこれまで以上に求められる素養だと感じています。
そのためにも、まずは自分の頭で考える基本動作を身につけること。そのうえでテクノロジーの力を使って、スピードと質を高めること。
これがこれからの“問題解決力の磨き方”なのだと思います。
■ 基本の“型”を持つということ
多くの問題解決メソッドは、マッキンゼーをはじめとするコンサルティングの現場で培われたものが多いと言われます。
その中から自分に合う型を一つ身につけてみる。
それだけでも、日々の仕事の質は大きく変わっていくはずです。 ぜひトライしてみてください。



